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「心にナイフをしのばせて」 [Books]


心にナイフをしのばせて (文春文庫)

心にナイフをしのばせて (文春文庫)

  • 作者: 奥野 修司
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 文庫


以前にどこかの書評で取り上げられていて、すっかり忘れていたが文庫本になったので
早速読んでみました。

読んでよかったなーと思える本でした。今年のベスト5に入ります。まだ4月ですが・・・
28年前に起こったもう一つの「酒鬼薔薇」事件の被害者家族を追ったノンフィクションです。

最近猟奇的な事件がおきるとマスコミはこぞって、「一体何が彼(彼女)をそうさせたのでしょうか?」「加害者には何があったのでしょうか?」みたいな取り上げられ方をするが、その報道の仕方に違和感を感じていた。

一体何があれば車で人につっこんだり、だれでもいいからといって人を殺したり、するのだろうか?
逆に何か正当な理由や原因があれば、そのようなことをしても許されるのでしょうか?

自分にはそんなことは想像もつきません。

著者は、あとがきの中で

「神戸の「酒鬼薔薇」事件のように、異常な事件が起こると、われわれはさまざまな角度から、犯人の心理を忖度しようとする。しかし私は、異常な犯人の心理など到底理解できるはずがないと思っている。異常な心理を理解できるのは、その人が異常だからだ。普通の人にできるのは理解する努力をするまでで、われわれには努力をしてもその先に空疎な闇が広がっているだけで、わかり得るはずがないのである。」

被害者の心理を理解しようとし、犯罪の原因を社会環境が原因だと決めつけようとする報道や、
残虐な事件現場の内容を詳細に報道する姿勢はいい加減にやめて欲しい。

それにしても被害者は無念でならない。痛感しました。
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